バイクにしろ車にしろシートの張替には、時に専用の糸を
使う事があります。実はミシンの糸のカテゴリーには
車両用 というものが存在しています。
しかし旧車のジャンルに関しては色や質感、太さを極力元の状態に
近づける事が多いのでその点を重視して糸を選ぶことが多いです。
元の糸と経年変化もなるべく同じようになるよう糸を
選ぶこともあります。
糸の基本番手は8番
バイクのシート、車のシートもほとんどの物が糸の太さは
8番手の糸で縫われています。ジーンズなどに使われている糸は
大体20~30番くらいだと思うので糸の太さはやや太めの部類に入ります。
8番手になると薄物用のミシンでは使えないので厚物用の工業用ミシンが
必要になってきます。
このシートは最近張り替えた旧い60年代のイタリアン製バイクのシート
生地はウルトラスエードという人口スエード生地。
使っている糸が元の表皮も8番だったので同じ番手を使用していますが、
このシートの元の表皮は糸の色が若干白く変色していました。
よくよく見ると元の色は黒で、それが経年変化して
白っぽく色が褪せてしまっているモノでした。
こうなるとまた違った糸の選択が必要になってきます。
化学繊維と綿糸の違い
今回使ったウルトラスエードは人口スエードですが直射日光などで
日焼けします。特にバイクのシートに使った場合、保管などに気を付けなければ
本物のスエードと同じように劣化します。こちらのシートは
元の表皮の糸が色抜けする綿の糸を使っていたので新しく作る表皮も
同じく綿を使い、車体のビンテージな雰囲気にゆくゆくは馴染む様にしました。
化学繊維の現代的な糸は見た目も艶があり色抜けがほとんどありません。
並べた糸が化学繊維の糸です。ちょっと艶があり糸のより目も綿より
はっきり出ていると思います。また同じ番手の糸ですが化学繊維の方が
やや細身に感じます。
経年変化していく素材を縫う際に化学繊維の糸だけのちのち綺麗なままだと
雰囲気が浮いてしまう恐れがあるので、こういった旧いシートに使う糸は
綿糸を使う事が多いです(僕の場合は)。
カスタムの場合は雰囲気に合わせるとGOOD
カスタムバイク、カスタムカーの場合は作るものの雰囲気に合わせて
糸も選びます。
新しいモデルでしたら化学繊維、旧いモデルもしくは旧い雰囲気で
作られているものには綿糸といった具合に作り手やオーナーさんの
趣味趣向をくみ取って選んでいきます、が
言わなければそこまで気づく方はまずいません笑
自己満足的な部分が強いですが、神は細部に宿る というので
こだわりのレストア、カスタムをするのなら
こだわりたい部分ではありますね☆
シート製作にまつわる
パイピングのお話はこちらの記事へ↓!