今回はバイクのシートを例にして製作の過程を
細かくご紹介しようと思います。
自動車のシートも基本的には同じような工程を踏みますが要所で行う
作業には少し違いがあります。
ウレタンの製作がとても重要
こちらのシートは旧いHONDAカブのシートです。
元のウレタンの状態が良かったので少し整形を加えてシート後部の
盛り上がり部分をお客様の要望でほんの少し足した状態です。
真横から見たシルエット。
黒いラインはこんな感じで縫製ラインが入るというのが分かる様に入れたもので
この状態でお客様に確認いただいてGoサインいただきました。
この状態から表皮のパターンを起こすわけですが、シート表皮を製作する際に
このウレタン製作、整形で間違ったことをすると上手く行かない事が多いです。
硬めのウレタンがベスト
よくお客様自らウレタンを作って持ち込まれる事がありますが、過去の経験上
持ち込まれたままの状態で表皮を張り込んだことは一度もないです。
そのほとんどの原因がウレタンが柔らかすぎる事です。
本来バイクのシートや自動車のシートはインジェクションウレタンと呼ばれる
特殊なウレタンで出来ています(インジェクションウレタンに関してはまた書きますね)
我々の様なシート屋がウレタンから作る場合このインジェクションウレタンに近い
高反発なウレタンをその都度厳選して使っています。
その硬さを持っているウレタンがホームセンターなどで売っている事は少なく、
ちょっとした問屋をあたらないと手に入らなかったります。
シート製作に向いているウレタンは硬めの物で、削ってもボロボロと
崩れてこない硬めの物が向いています。
種類(硬度)を変えて積層する
薄い厚みのシートでは大体硬めのウレタン1種類で対応しますが、厚みの
あるものでは2~3種類くらいのウレタンを使って積層します。
一番下は硬めで真ん中から上部に向けては適度に硬く、最上部は薄く柔らかい
ウレタンで形を整え質感をよくする、の様な積み方をします。
硬めのウレタンの厚みによってそのシートの芯が出る部分が変わるので、その
バイクに合わせた積み方を考えます。
どんなに良いバイクも結局のところ人間とつながっている部分は
ハンドル、ステップ、シートの3点なのでポジションを変えたい場合や
ワンオフ製作のフレームでイチから座る場所を探らなければいけない時は
ウレタンの厚みや硬さも十分考えて製作する必要があるので
今後挑戦してみたい方は参考にしてみてください。
次回はウレタン製作に関わる道具や接着剤のご紹介をします☆